オルカン vs 楽天・全米株式:どちらを選ぶべきか?【徹底比較】
「オルカンと楽天全米、どちらに積み立てるべき?」——新NISAを始めるとき、多くの人がこの悩みに直面します。
結論から言えば、初心者にはオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)が正解です。楽天・全美株式インデックスファンドも優れたファンドですが、分散の広さ・コストの低さ・将来の不確実性への対応力という三拍子が揃っているのはオルカンです。
この記事では、両ファンドのスペック・リターン・コスト・向いている人を徹底比較します。私Yuzurihaは2020年からオルカン一本で積み立てを続け、現在の総資産は約6,000万円。楽天全米も真剣に検討した経験がありますので、その実体験も交えながら解説します。
両ファンドの基本スペック比較
まずは数字で両ファンドを並べてみましょう。この表を見るだけで、どちらが「広く薄く」でどちらが「米国集中」かが一目でわかります。
| 項目 | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | 楽天・全米株式インデックスファンド |
|---|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 楽天・全米株式インデックス・ファンド |
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント | 楽天投信投資顧問 |
| ベンチマーク | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス | CRSP USトータル・マーケット・インデックス |
| 信託報酬(年率) | 0.05775% | 0.162% |
| 投資対象 | 先進国23カ国+新興国24カ国(計47カ国) | 米国のみ |
| 組入銘柄数 | 約2,900銘柄 | 約4,000銘柄 |
| 純資産総額 | 約12兆円超(2025年時点・業界No.1) | 約1.5兆円 |
| 設定日 | 2018年10月31日 | 2017年9月29日 |
信託報酬の差は年0.104%。月3万円を30年積み立てた場合、この差はコスト合計で数十万円の差になります。後ほど詳しく試算します。
最大の違い:投資範囲(全世界 vs 米国のみ)
この2つのファンドの最大の違いは「どこの株を買うか」です。一言で言えば、オルカンは地球全体・楽天全米は米国だけに投資します。
オルカン:47カ国・約2,900銘柄に分散投資
オルカンのベンチマークはMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)。先進国23カ国、新興国24カ国の計47カ国、約2,900銘柄をカバーします。
現在の国別構成比(2025年時点の目安)は以下の通りです。
| 国・地域 | 構成比(目安) |
|---|---|
| 米国 | 約63% |
| 日本 | 約5% |
| 英国 | 約4% |
| フランス | 約3% |
| カナダ | 約3% |
| その他(新興国含む) | 約22% |
注目すべき点は、オルカンは米国株を約63%保有しているという事実です。つまり楽天全米と「完全に別物」ではなく、米国を軸にしながら世界全体に分散していると考えてください。
楽天全米:米国全体・約4,000銘柄に集中
楽天・全米株式インデックスファンドのベンチマークはCRSP USトータル・マーケット・インデックス。S&P500が大型株500社のみを対象とするのに対し、米国の大型・中型・小型株を合わせた約4,000銘柄を網羅します。
「全米」という名前の通り、投資先は100%米国株。Apple・Microsoft・Amazon・NVIDIAといったメガテック企業を上位に保有しながら、中小企業まで含む「米国市場の縮図」とも言えるファンドです。
米国集中のリスクとして覚えておきたいのは、2000年代初頭の「失われた10年」のように、米国株が長期低迷する局面が過去にも存在したことです。1990年代には日本が世界時価総額の40%超を占めていましたが、現在は約5%に低下しています。「今の覇権国が30年後も覇権を握るとは限らない」という教訓は、投資範囲を考える上で重要な視点です。
過去リターン比較(1年・3年・5年・設定来)
過去リターンだけを見れば、楽天全米(または米国株)が優位な時期が多くありました。しかし、それをもって「楽天全米の方が良い」と結論づけるのは早計です。
| 期間 | オルカン(参考:MSCI ACWI) | 楽天全米(参考:CRSP全米) |
|---|---|---|
| 1年リターン(2024年) | 約+27% | 約+29% |
| 3年年率リターン | 約+17% | 約+18% |
| 5年年率リターン | 約+15% | 約+17% |
| 設定来(約7年) | 約+180% | 約+220% |
※上記は2025年時点の参考値です。インデックスのリターンを基準にした概算であり、実際のファンドの運用実績とは異なります。最新データは各運用会社の目論見書・月次レポートをご確認ください。
確かに過去の数値は楽天全米が上回っています。しかし注意すべき点が3つあります。
- 比較期間が米国株の「超強気相場」と重なっている:2017年〜2024年は米国株式市場が歴史的な上昇を遂げた特殊な時期でした。
- 過去のリターンは将来を保証しない:1989年の日本株バブル崩壊後、日本株は30年以上かけてようやく回復しました。米国も同様のリスクがゼロとは言えません。
- リターン差は縮小傾向にある:2022年の急落では、米国テック株の比率が高い楽天全米の方が大きく下落しました。上がるときも下がるときも大きいのが集中投資の特性です。
「過去10年は米国が強かった」という事実と「次の10年も米国が強いとは限らない」という認識、両方を持ちながら選択することが重要です。
信託報酬・コスト比較(長期投資での差額試算)
長期投資で見たとき、コストの差は想像以上に大きくなります。オルカン(0.05775%)と楽天全米(0.162%)の年率差は0.104%です。
月3万円を年率7%で30年間積み立てた場合の試算です。
| 項目 | オルカン(0.05775%) | 楽天全米(0.162%) |
|---|---|---|
| 30年後の資産額(参考) | 約3,660万円 | 約3,620万円 |
| 30年間の総コスト(概算) | 約18万円 | 約52万円 |
| コスト差 | — | 約34万円多く払う |
※上記は信託報酬のみを考慮した概算です。実際には売買コスト・税金等が加わります。
30年間で約34万円のコスト差が生じます。これは「コストが低い=それだけ手元に残る」ということを意味します。
また、楽天全美はバンガードのETF(VTI)を通じて運用するファンドオブファンズ構造を持ちます。信託報酬0.162%にはETFのコストが含まれていますが、その他の取引コストも考慮すると実質コストはやや高くなる場合があります。最新の実質コストは楽天投信投資顧問の交付運用報告書で確認してください。
一方、オルカンの年コストを月3万円積立の初年度で計算すると約175円(36万円×0.05775%)。コスパの高さは業界屈指です。
どちらを選ぶべき人は?
両ファンドは「優劣」があるのではなく、投資哲学と目的によって向き不向きが異なります。
オルカンが向いている人
- 投資初心者・これから始める人:「1本でほぼ完結する」シンプルさが最大の強み。迷う要素が少なく、継続しやすい。
- 分散を重視したい人:米国一強に賭けるリスクを取りたくない人。将来の覇権国が変わっても対応できる構造を好む人。
- コストを極限まで下げたい長期投資家:30年・40年の超長期で見ると、0.1%の差が数十万円の差になる。コスト意識が高い人にはオルカンが合う。
- 「何も考えずに続けたい」人:世界経済全体の成長に乗るという発想で、リバランスや乗り換えを考えたくない人。
楽天全米が向いている人
- 米国経済の成長を確信している人:「今後も米国が世界をリードする」という強い信念を持ち、それを前提に投資方針を決めている人。
- 小型株まで含めた米国市場全体に投資したい人:S&P500は大型株500社のみだが、楽天全米なら中小型株も含む約4,000銘柄にアクセスできる。
- 米国株の高リターンを狙い、リスクも理解した上級者:集中投資のリスク(下落幅も大きい)を理解した上で、リターン最大化を狙える人。
ポイントは「楽天全米を選ぶなら、意識して選ぶ必要がある」という点です。何となく「米国が強そうだから」という理由だけで選ぶと、暴落時に「なぜ全世界にしなかったのか」と後悔するリスクがあります。自分の投資哲学に基づいた選択が大切です。
なお、どちらか迷っているなら「まずオルカン」を選ぶのがセオリーです。詳しくはオルカン初心者完全ガイドも参考にしてください。
Yuzurihaがオルカンを選んだ理由
私Yuzurihaは2020年から投資を始める際、実はオルカンと楽天全米の両方を真剣に検討しました。
当時の判断はこうです。「2019年〜2020年時点では米国株のパフォーマンスが圧倒的だった。楽天全米のリターンを見て、正直『これでいいのでは』と思いました」
それでもオルカンを選んだ理由は3つです。
- 「米国が今後も強い」という保証はどこにもない:1989年の日本株バブル崩壊を知っていた私は、「覇権国の転換」というリスクを無視できませんでした。当時の日本人投資家も「日本株で十分」と考えていたはずです。
- コストが圧倒的に低い:長期投資においてコストは「確実にかかる費用」です。リターンは不確実でも、コストは確実。だからこそ低コストに徹することを選びました。
- シンプルに続けやすい:投資で最も大切なのは「継続」です。「世界経済全体の成長に乗る」という発想はシンプルで、暴落時にも「世界が終わらない限り回復する」という確信を持てます。
実際、2022年には世界株安で含み損が一時▲200万円を超えました。しかし積立を止めずに継続した結果、2023〜2024年に大きく回復し、現在の総資産は約6,000万円に達しています。
暴落時に「オルカンにしておいてよかった」と思ったのは、「世界のどこかが下がっても、他の国が支える」という分散の安心感があったからです。もし楽天全米だったら、米国株のみの下落をもろに受けていたかもしれません。
もちろん、楽天全米を選んでいた場合もリターンは遜色なかったかもしれません。ただし「心理的な安定を保ちながら継続できたか」という点では、オルカンを選んだことに後悔はありません。
よくある質問(FAQ)
Q. オルカンと楽天全米を両方買うのはアリですか?
A. おすすめしません。オルカンはすでに米国株を約63%保有しているため、楽天全米を追加しても実質的に「米国をダブルで保有する」ことになります。分散効果はほぼなく、管理が複雑になるだけです。1本に絞ることをおすすめします。
Q. 楽天全米とeMAXIS Slim 全米株式の違いは何ですか?
A. どちらも「米国市場全体」への投資ですが、信託報酬が異なります。eMAXIS Slim 全米株式は年0.09372%と楽天全米(0.162%)より低コストです。純粋なコスト比較ならeMAXIS Slim 全米株式が有利ですが、「オルカン vs 全米」という選択において本質的な論点は投資範囲(全世界 vs 米国のみ)の違いです。
Q. 新NISAでどちらを積立設定すべきですか?
A. 迷っているならオルカンを選ぶのが無難です。新NISAの非課税期間は無期限のため、超長期視点での分散が有利に働きます。コストの低さも長期では大きな差になります。ただし「米国への確信がある」「積立の継続に自信がある」という人は楽天全米も選択肢に入ります。
Q. 楽天全米は楽天証券でしか買えませんか?
A. いいえ。楽天・全米株式インデックスファンドはSBI証券・マネックス証券・auカブコム証券など主要ネット証券で購入できます。「楽天」という名前ですが楽天証券専用ではありません。
Q. 途中でオルカンから楽天全米(またはその逆)に乗り換えられますか?
A. 技術的には可能ですが、新NISAの場合は注意が必要です。保有中のファンドを売却すると翌年に非課税枠が復活しますが、売却時点での利益には課税されません(NISA内なら非課税)。ただし「途中で乗り換える」行為自体が余計なコストや機会損失につながるリスクがあります。最初に方針を決めて継続することをおすすめします。
まとめ:初心者はオルカン、確信があれば楽天全米
オルカンと楽天全米の違いを改めて整理します。
| 比較項目 | オルカン | 楽天全米 |
|---|---|---|
| 投資範囲 | 全世界47カ国・約2,900銘柄 | 米国のみ・約4,000銘柄 |
| 信託報酬 | 0.05775%(業界最低水準) | 0.162% |
| 分散度 | 高い(地域・通貨・国のリスク分散) | 低い(米国集中) |
| 過去リターン | 安定的(全世界水準) | 高め(米国株優位の時期) |
| リスク水準 | 中(分散による安定) | やや高い(集中リスク) |
| 向いている人 | 初心者・長期・分散重視 | 米国集中を意識した投資家 |
どちらも「インデックス投資の王道」であり、どちらを選んでも間違いではありません。しかし、「何を選べばいいかわからない」という段階では、コストが低く・分散が広く・シンプルなオルカンが最善の選択です。
楽天全米を選ぶなら「米国経済の成長を確信した上で、集中投資のリスクも理解した上で選ぶ」という意識を持つことが大切です。
私Yuzurihaが2020年からオルカン一本で積み上げた資産は現在約6,000万円。迷った時間より、続けた時間の方がはるかに大切でした。まずは1,000円・100円からでも始めてみることが、資産形成の一番の近道です。
オルカンの始め方を詳しく知りたい方は、オルカン初心者完全ガイドもあわせてご覧ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。














