オルカン基準価額はなぜ動く?日銀9月利上げ観測と円高・米国株高を整理【2026年9月】

「オルカンの基準価額、最近なんだか動きが気になる」——そう感じている方も多いのではないでしょうか。今の値動きの背景には、日銀の9月利上げ観測による円高圧力と、米国株続伸という押し上げ材料がせめぎ合っている事情があります。この記事では2026年9月9日時点の状況を整理し、今後どこを見ておけばよいかをまとめます。
この記事の結論
オルカンの基準価額は、①日銀の9月利上げ観測(円高要因・下押し圧力)と、②米国株続伸(押し上げ要因)という逆方向の力を同時に受けています。加えて③純資産総額が約13.5兆円に迫るペースで資金が流入し続けている点は、短期の値動きとは別軸のポジティブ材料です。どちらの力が強いかは9月17〜18日の日銀会合まで見極めが難しく、積立投資であれば値動きに一喜一憂せず淡々と継続するのが基本的な考え方とされています。
結論|オルカンを動かしているのは「円高要因」と「米国株高要因」のせめぎ合い
2026年9月現在、オルカンの基準価額に影響を与えている材料は大きく3つあります。1つ目は日銀の利上げ観測による円高圧力、2つ目は米国株の続伸、3つ目は純資産総額の拡大です。1つ目は基準価額を押し下げる方向、2つ目は押し上げる方向に働くため、日々の値動きは「綱引き」のような状態になっています。
3つ目の純資産総額の拡大は、短期的な基準価額の上下とは別の話です。資金が継続的に流入しているという事実は、ファンドの規模や運用の安定性という観点でのポジティブな材料といえます。まずは、それぞれの要因を順番に見ていきましょう。
そもそもオルカンの基準価額はどう決まるのか
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、世界中の株式に分散投資するインデックスファンドです。基準価額は、ファンドが保有する資産の時価総額を口数で割って算出され、原則として1日1回、営業日ごとに更新されます。
外貨建て資産中心だから為替の影響を受ける仕組み
オルカンが投資している株式の多くは米国株をはじめとする外貨建て資産です。外貨建て資産は、いったん外貨のまま評価された後、円換算されて基準価額に反映される仕組みになっています。そのため、投資先企業の株価が変わらなくても、為替レートが円高に動けば円換算後の評価額は目減りし、逆に円安に動けば評価額は膨らみます。つまりオルカンの基準価額は「株価の変動」と「為替の変動」という2つの要素が組み合わさって決まっているのです。
基準価額がどのように推移し、いつ更新されるのかをより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
要因1|日銀9月利上げ観測(1.00%→1.25%、織込み度約80%・2026年9月9日時点)
日銀は2026年9月17〜18日に開く金融政策決定会合で、政策金利を現行の1.00%から1.25%へ引き上げるとの見方が強まっています。2026年9月9日時点で、市場ではすでに約80%の確率で織り込まれているとの報道もあります(Bloomberg、野村ウェルスタイル、ダイヤモンド・オンライン)。あくまで「観測」の段階であり、実際にどう決定されるかは会合の結果を待つ必要がある点にご注意ください。
今回注目されているのは、そのペースです。前回6月の利上げからわずか3ヶ月というスピードで、次の利上げが取り沙汰されている状況は、これまでと比べて利上げペースが加速している可能性を示すものとされています。
利上げ→円高→基準価額下押しのメカニズム
一般的に、日本の政策金利が上がると日米の金利差が縮まり、相対的に円が買われやすくなる(円高が進みやすくなる)傾向があるとされています。円高が進むと、前章で触れたとおり外貨建て資産の円換算評価額が目減りするため、オルカンの基準価額には下押し圧力がかかりやすくなります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、為替は金利差以外にも各国の経済指標や地政学リスクなど多くの要因で動きます。「利上げ=必ず円高」「円高=必ず基準価額下落」と単純に決めつけられるものではない点は押さえておきたいところです。
為替変動がオルカンにどのような影響を与えるのか、仕組みをもう少し詳しく整理した記事はこちらです。
要因2|米国株続伸と利上げ観測後退
要因1とは逆方向に働いているのが、米国株の動きです。2026年9月に入り、米国株式市場は続伸する場面が見られました。オルカンは組入比率の多くを米国株が占めているため、米国株が上昇すれば基準価額の押し上げ要因になります。
FRB高官のタカ派姿勢緩和が利上げ観測を後退させた経緯
財経新聞の報道によると、今回の米国株続伸の背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事がタカ派姿勢を緩和させたことで長期金利が低下し、年内の追加利上げに対する警戒が後退したことがあるとされています。利上げ観測の後退は、一般に株式市場にとって好材料と受け止められやすく、これが米国株の押し上げにつながったとみられます。
整理すると、日本では利上げ観測が「強まる」一方、米国では利上げ観測が「後退する」という、方向性の異なる金融政策の思惑が同時に進行している状況です。これが日米の金利差の見通しに影響し、為替や株式市場それぞれに異なる形で波及しています。
要因3|純資産総額13.5兆円接近と資金流入ペース加速
日々の値動きとは別の視点として、オルカンの純資産総額の推移にも触れておきます。日本経済新聞のファンド情報によると、2026年8月末時点でeMAXIS Slim 全世界株式の純資産総額は135,187億円(約13.5兆円)に達しています。
直近1ヶ月+3,960億円、1年リターン+33.12%、シャープレシオ2.33の意味
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 純資産総額(2026年8月末時点) | 約13.5兆円(135,187億円) |
| 直近1ヶ月の資金流入額 | +3,960億円 |
| 1年リターン | +33.12% |
| シャープレシオ | 2.33 |
出典:日本経済新聞ファンド情報(2026年8月末時点データ)
直近1ヶ月だけで+3,960億円という資金が新たに流入している点は、多くの人が積立や購入を継続している、あるいは新たに始めているということを示しています。1年リターン+33.12%という数字は過去の実績であり、今後の値動きを保証するものではありませんが、これまでの運用実績としては良好な水準だったといえます。
シャープレシオとは、リスク(値動きの大きさ)に対してどれだけリターンを得られたかを示す指標です。数値が高いほど、リスクに見合った効率的なリターンが得られていたと評価されます。2.33という数値は、直近の運用効率が悪くなかったことを示す一つの参考値といえるでしょう。
なお、月ごとの積立実績やより詳しい数値の推移については、毎月更新している月次レポートをご覧ください。純資産総額の増加が積立投資家にとってどんな意味を持つのかは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
3つの要因を整理|今は「下押し」と「押し上げ」のどちらが強いのか
| 要因 | 基準価額への働き |
|---|---|
| 日銀9月利上げ観測(円高圧力) | 下押し方向 |
| 米国株続伸・FRB利上げ観測後退 | 押し上げ方向 |
| 純資産総額拡大・資金流入継続 | 短期の値動きとは別軸(中長期のポジティブ材料) |
このように、要因1(円高圧力)と要因2(米国株高)は逆方向に働いており、どちらが優勢かは会合直前まで流動的とされています。日々の基準価額が上下しているのは、こうした複数の材料が入り混じっているためであり、特定の一つの要因だけで説明しきれるものではありません。
今後の注目ポイント|9月17〜18日の日銀会合で何を見ればいいか
今後の値動きを考えるうえで、まず注目したいのが9月17〜18日に開催される日銀の金融政策決定会合です。ここで政策金利が実際に1.25%へ引き上げられるかどうか、また会合後の総裁会見でどのような先行きの見通しが示されるかが、為替市場の反応を左右するとみられます。
- 会合当日〜翌営業日の為替(ドル円レート)の動き
- 日銀総裁会見での次回以降の利上げに関する発言
- 米国側の経済指標発表とFRBの金融政策スタンスの変化
- 会合後のオルカン基準価額の反応
これらは日本経済新聞や各証券会社の速報、日銀の公式発表資料で確認できます。会合の結果自体は誰にも事前に断定できないため、「利上げされる/されない」を予測すること自体よりも、結果が出た後にどう受け止めるかを事前に考えておくことのほうが実用的といえるでしょう。
この状況でどう動くべきか
ここまで見てきたとおり、オルカンの基準価額は複数の要因が同時に、しかも逆方向に働いている状態です。こうした場面で短期的な値動きの方向を正確に当てるのは、専門家であっても簡単ではないとされています。
特に新NISAなどを使って積立投資をしている場合、目先の基準価額の上下よりも、長期で世界経済の成長に投資し続けるという当初の方針を維持することが基本的な考え方とされています。積立投資は購入時期を分散させる仕組み(ドルコスト平均法)によって、こうした短期的な価格変動の影響を平準化しやすいという特徴があります。純資産総額が拡大を続けている、つまり多くの投資家が同じように積立を継続しているという事実も、一つの参考材料になるはずです。
私自身も2020年からオルカンの積立を続けていますが、こうした短期的な材料が出るたびに基準価額をこまめにチェックすることはせず、毎月の積立額を変えずに淡々と継続するようにしています。日々のニュースに反応して積立を止めたり増やしたりすると、かえって判断がぶれやすくなると感じているためです。
とはいえ、状況の受け止め方は人によって異なります。次のような形で自分に当てはめて考えてみるとよいでしょう。
- 今の変動を静観してよい人:新NISAのつみたて投資枠等で長期の積立を前提にしている、日々の基準価額を見なくても不安を感じない
- 積立額の見直しを検討してもよい人:数年以内に取り崩す予定がある、値動きが気になって夜も眠れないほど不安を感じている
もちろん、値動きが気になって不安な場合は、無理のない範囲まで投資額を見直すことも一つの選択肢です。ご自身の資産状況やリスク許容度に合わせて、無理のない範囲で判断するようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 基準価額の下落は含み損に直結しますか?
A. 保有口数に対して基準価額が下がれば、評価額としては一時的に含み損の状態になることがあります。ただし、これは売却して確定させない限り「評価上の変動」にとどまります。長期の積立投資では、こうした一時的な変動を経験しながら資産形成を進めていくケースが多いとされています。
Q. 円高と米国株高、どちらの影響が大きいですか?
A. 現時点でどちらが優勢かを断定することはできません。円高は基準価額の下押し要因、米国株高は押し上げ要因として、それぞれ逆方向に働いており、実際の基準価額はこの2つの綱引きの結果として日々動いています。会合結果や米国の経済指標の発表を踏まえて、その都度状況が変わる可能性があります。
Q. 日銀会合の結果はどこで確認できますか?
A. 日本銀行の公式サイトで、金融政策決定会合の結果や総裁会見の内容が発表されます。あわせて日本経済新聞やBloombergなどの経済メディアでも速報が出ますので、一次情報として公式発表を確認したうえで、報道の解説を参考にするとよいでしょう。
まとめ|変動要因を押さえて、会合後も冷静に判断する
2026年9月時点でのオルカンの値動きは、日銀の9月利上げ観測による円高圧力と、米国株続伸という2つの逆方向の力、そして純資産総額の拡大という中長期のポジティブ材料が同時に存在している状態です。9月17〜18日の日銀会合は一つの節目になりそうですが、結果を事前に断定することはできません。
大切なのは、値動きの「理由」を知ったうえで、短期の上下に振り回されすぎないことです。この記事で紹介した要因を押さえておけば、会合後にニュースを見たときも「ああ、あの話か」と落ち着いて受け止められるはずです。
免責事項
本記事の情報は2026年9月9日時点のものです。日銀の金融政策決定会合の結果や市場動向は今後変化する可能性があり、記事中の観測・見通しは確定した事実ではありません。本記事は投資助言を目的としたものではなく、投資に関する最終判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。














