オルカンの想定利回りは何%?過去実績から考える現実的なリターン

「オルカンの想定利回りは何%で考えればいいの?」
「毎月積立したら、将来いくらになるのか知りたい」
全世界株式インデックスファンド、いわゆるオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))に投資している方、これから始めようとしている方の多くが、この疑問を抱えています。
長期投資では想定利回りの設定がとても重要です。楽観的すぎると将来計画が崩れ、悲観的すぎると必要以上に不安になります。
この記事では、オルカンが連動を目指す指数であるMSCI ACWI(全世界株式指数)の過去実績をもとに、
- 過去の年率リターンはどのくらいか
- 将来の想定利回りは何%で考えるべきか
- 積立シミュレーションの現実的な前提
- 利回りを過信しないための注意点
を、やさしく丁寧に解説します。
投資初心者の方でも理解できるよう、背景知識から順に説明していきます。
オルカンとは?まずは基本をおさらい
オルカンとは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の通称です。
オルカンはインデックスファンドに分類されます。インデックスファンドとは株価指数に連動を目指すファンドです。指数連動に追従するように銘柄入れ替えを行うため、ファンドマネージャーの銘柄選定売買タイミングの判断が必要ないため、信託報酬(コスト)が低いというメリットがあります。
オルカンは、MSCI ACWI(All Country World Index)という指数に連動することを目指しています。
MSCI ACWIとは?
MSCIとはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルの略称で、米国に本拠を置く金融サービス企業です。ACWI(All Country World Index)は全世界の株式を対象とした指数を表します。
つまり、MSCI ACWIは、MSCI社が算出している先進国と新興国を含む47カ国・約3,000銘柄で構成される「世界の株式市場全体」を表す指数です。
オルカンは
- 米国株
- 欧州株
- 日本株
- 新興国株
をまとめて保有できる、分散投資型のインデックスファンドです。
オルカンの成績は「株価」と「為替」で決まる
オルカンの想定利回りを考えるうえで、非常に重要なポイントがあります。
それは、オルカンの成績は「MSCI ACWIの値動き」だけでなく「為替」の影響も受けるということです。
オルカンはインデックスファンドであり、指数に連動多くの方が「世界株が上がればオルカンも上がる」と考えますが、日本円で投資している私たちは、常に為替変動の影響を受けています。
投資先は全世界に分散しており、世界中の通貨の為替影響を受けます。特に米国株は6割を占めており、ドル×円の為替影響は大きく受けます。
- オルカンはMSCI ACWIの値動きに連動する
- さらに円高・円安の影響を受ける
- 株高+円安なら大きなリターン
- 株高でも円高なら抑えられることもある
- 想定利回りは為替を考慮し、控えめに設定するのが安全
オルカンは「世界経済」と「為替」という2つの要素に支えられた商品です。
この構造を理解しておくことで、
短期的な値動きに振り回されず、長期投資を続けやすくなります。
ぜひ、株価だけでなく「為替」も意識しながら、冷静に資産形成を進めていきましょう。
ここでは、その仕組みをやさしく整理します。
① MSCI ACWIの値上がり(株価要因)
まず1つ目は、世界の株式市場そのものの値動きです。
オルカンは、MSCI ACWIという指数への連動を目指しています。
この指数は主に米ドルベースで算出されています。
たとえば、
- 米国企業の業績が好調
- 世界経済が拡大
- 企業利益が増加
すると、MSCI ACWIは上昇します。
これがオルカンのリターンの土台となる部分です。
過去の長期平均リターン(約7〜8%)は、基本的にこの株価成長の積み重ねによるものです。
② 為替の影響(円高・円安)
次に2つ目が為替の影響です。
オルカンは為替ヘッジを行っていないため、円安になるとプラス、円高になるとマイナスの影響を受けます。
具体例で考えてみましょう
仮に、
- MSCI ACWIが1年間で+5%上昇
- 同時にドル円が10%円安
となった場合、円ベースではおおよそ+15%前後のリターンになります(単純化した例)。
逆に、
- MSCI ACWIが+5%
- ドル円が10%円高
であれば、円ベースではマイナスになる可能性もあります。
つまり、
オルカンの成績 = 世界株の値動き × 為替の影響
と考えると分かりやすいでしょう。
なぜ近年のオルカンは好成績だったのか?
ここ数年、オルカンの成績が非常に良かった背景には、
- 米国株を中心とした株価上昇
- 急激な円安
という2つの追い風がありました。
つまり、
株高+円安
というダブル効果が働いていたのです。
しかし、将来も同じ環境が続くとは限りません。
長期投資で為替をどう考えるべきか?
① 為替は予測が極めて難しい
為替は金利差、景気、地政学リスクなど多くの要因で動きます。
短期予測はプロでも困難です。
② 長期では均されやすい
10年、20年という長期で見ると、円高・円安は波を繰り返します。
一方向に動き続けるとは限りません。
③ 世界分散の意味
日本円だけで資産を持つリスクを分散できるという意味では、為替リスクは「デメリット」だけでなく「通貨分散」というメリットでもあります。
想定利回りを考えるときの現実的な視点
過去のMSCI ACWIのドルベースリターンは約7〜8%前後でした。
しかし、日本の投資家が円ベースで考える場合、
- 株式リターン
- 為替変動
- 信託報酬
をすべて含めて考える必要があります。
そのため、将来シミュレーションでは年率3〜5%程度で見積もるのが無理のない水準といえるでしょう。
為替の上振れは「ボーナス」くらいに考えておくと、計画が堅実になります。
オルカンの過去実績(MSCI ACWIのリターン)
想定利回りを考えるには、まず過去の実績を知る必要があります。
MSCI社が公表しているデータ(米ドルベース・配当込み)によると、MSCI ACWIの長期平均リターンはおおよそ以下の水準です。
- 過去10年:年率 約8〜10%前後
- 過去20年:年率 約7〜8%前後
- 過去30年:年率 約7%前後
※為替や計測期間により変動します。
なぜ期間によって差があるのか?
株式市場は景気循環の影響を受けます。
- ITバブル崩壊(2000年前後)
- リーマンショック(2008年)
- コロナショック(2020年)
このような大きな下落局面が含まれるかどうかで、平均リターンは大きく変わります。
重要なのは、短期では大きくブレるが、長期では7〜8%程度に収れんしてきたという点です。
オルカンの想定利回りは何%で考えるべき?
結論から言うと、将来計画に使う想定利回りは年率3〜5%程度で保守的に見積もるのがおすすめです。
なぜ過去実績(7〜8%)より低く設定するの?
理由は3つあります。
① 将来は過去と同じとは限らない
人口減少や経済成長率の鈍化など、将来の世界経済が過去と同じペースで成長する保証はありません。
② 為替の影響がある
MSCI ACWIはドルベースでの指数です。
日本人が円で投資する場合、円高になるとリターンが抑えられます。
③ 投資信託のコストがある
オルカンは低コストですが、信託報酬(年率0.1%台)がかかります。
これらを踏まえると、
- 楽観シナリオ:6〜7%
- 現実的シナリオ:4〜5%
- 保守的シナリオ:3%
といった形で複数パターンを想定するのが安全です。
【シミュレーション】毎月1万円積立した場合
想定利回り別に、30年間積み立てた場合を考えてみましょう。
- 毎月1万円(年間12万円)
- 積立期間30年
年率3%の場合
約580万円
年率5%の場合
約830万円
年率7%の場合
約1,200万円
元本は360万円です。
複利の力によって、時間が長いほど差が大きくなります。
ただし、実際のリターンは毎年一定ではありません。
上がる年もあれば、大きく下がる年もあります。
暴落を含めた「本当の利回り」を理解する
長期リターンが7%前後でも、途中で−30%〜−50%の下落を経験する可能性は十分あります。
例えば、リーマンショック時には世界株式は大きく下落しました。
ここで重要なのは、
- 暴落時に積立をやめない
- 長期視点を維持する
ことです。
長期平均リターンは「下落を含めた結果」であることを忘れてはいけません。
オルカンの期待リターンをどう活用するか
想定利回りは、
- 老後資金計画
- 教育資金準備
- FIREシミュレーション
などに使います。
おすすめは複数の利回りで試算することです。
たとえば、
- 基本は4%で計算
- 余裕資金は3%で確認
- 上振れシナリオとして6%も確認
といった形で、幅を持たせると安心です。
よくある質問
Q. 今後も7%で増え続けますか?
保証はありません。株式市場は常に変動します。過去実績は参考になりますが、将来を約束するものではありません。
Q. 利回りが低下したら意味がない?
年率3〜4%でも、長期積立では大きな資産になります。
「時間」を味方にすることが重要です。
まとめ|オルカンの想定利回りは“控えめ”がちょうどいい
- MSCI ACWIの長期平均は年率7〜8%前後
- 将来計画では3〜5%で保守的に見積もる
- 暴落を含めて長期視点で考える
- 複数シナリオで資産計画を立てる
オルカンは、世界経済全体の成長を取り込む合理的な投資手法です。
しかし、「想定利回りは低めに、積立期間は長めに」という考え方が、堅実な資産形成につながります。
ぜひ一度、ご自身の積立額と期間でシミュレーションしてみてください。
現実的な数字で考えることが、将来の安心につながります。













